僕は長野市に住んでいる。長野県に海外のロックミュージシャンがライヴに来る事はまずない。唯一の例外としてたまにベンチャーズが来るだけ。
1996年、長野県松本文化会館に、なんとあのSex Pistols がやって来た。この時の驚きと哀しみを言葉で表現するのは難しい。
Sex Pistols はロックの歴史を塗り替えたバンドだ。音楽性云々はともかくとして、70年代で最重要バントのひとつである事に疑いはない。パンクムーブメントが過ぎ去った後も、母国で隣に美女を侍らせて悠々自適の暮らしをしていてもおかしくない。それが演歌歌手しか来ないような日本の片田舎まで遥々巡業に来るのだ。そうでもしなければ生計もままならないのかと、僕はロックスターの末路を憐れみ、ひたすら哀しい気持ちになった。
あの時、何故長野までやって来たのか、本当のところは知らない。だがあの時の僕は間違っていたと後ですぐに気付いた。彼らは今でも全世界で絶大な人気を誇っている。驚愕の35th 盤がもうじきリリースされる。