Steve Winwood / Arc of a Diver

 夏の軽井沢でのアルバイトは、異性との出逢いを求めてという以外に動機などあり得ない。ドラマにあるような胸ときめく出来事を期待して、張り切って乗り込んでみたものの、そんな時ほど何も起こらない。

 ではつまらなかったのかというと、そうでもない。その時気付いた事だが、リゾートはそこにいるだけで幸せな気分になれるのだ。それは自分の置かれている立場や、個人の持つ事情に左右される事はない。その場所が重要なのだ。万人を幸せにする事のできる場所、それがリゾートだと思う。

 某山下君の古今東西ロックの名盤10選の中で、最も多くの回数を聴いたのが、Steve Winwood の「Arc of a Diver」である。全世界でとんでもないセールスを記録した名盤中の名盤。しかも信じられないほど真夏のリゾートに合う。透き通った朝の風景、やわらかな風と木漏れ日、そして夕暮れ。思い出すどの景色の中にも、このアルバムの曲が流れている。

 あれから30年近く。時折このアルバムを聴いてあの夏を思い出している。