村上龍 寂しい国の殺人 3

 昨日の記事で村上龍「寂しい国の殺人」は「13歳のハローワーク」と同サイズと申し上げましたが誤りでした。謹んでお詫び申し上げますともに心から哀悼の意を表します。♪チーン

 「寂しい国の殺人」。ここで龍さんが言ってることはたった一言、近代化の終焉です。龍さんは1970年代に日本の近代化が終わったと言っています。終戦直後から始まった近代化というのは、物資が何もない貧しい時代からスタートし、欧米諸国に追いつけ追い越せと国中が猛烈に働き、国民全体が単一な価値観を共有していた時代ですよね?

 しかし近代化が終わった今、既に国家的目標などというモノはないワケです。だから個人としての目標を設定しなければいけないのですが、メディアも親も教師も誰もその事を言わない。

 「イン ザ・ミソスープ」と同じ1997年に書かれた「寂しい国の殺人」は、同年の神戸須磨区で起きた連続児童殺傷事件をベースにして、「近代化の終焉の後、国家的目標の喪失の次に来るべき個人的な価値観と目標を、未だに見いだせない寂しさが日本を覆っている」と指摘しています。なのでタイトルが「寂しい国の殺人」なのよね!