村上龍 55歳からのハローライフ (17)

 村上龍「55歳からのハローライフ」、「キャンピングカー」。キャンピングカーの購入計画が家族に受け入れられなかった事で、主人公の男は再就職を考えるようになるのだが、どうもこのへんが僕とは違う。

 妻が自分の時間を大切にしたいと云うのなら、キャンピングカーでひとり気ままに放浪の旅に出ればいいのだ。家族とは旅の途中で落ち合ってもいいのだし。まして再就職なんて僕には有り得ない。これ以上働きたくない。

 再就職がうまくいかず、男は追い詰められた末に、心療内科にお世話になるようになる。結局、男のプライドはズタズタになったようだ。

 自分という人間は何者なのか。キャンピングカーで旅する自分、会社に勤めている自分。自分というのはそれだけではない。家族から尊敬される自分や、周りに必要とされる自分とは、キャンピングカーと会社の二者択一ではないはずだ。誇れる自分はもっと一杯いると思う。会社を辞めたらただの人であるこの男を、やっぱり僕は好きになれない。なので同情もしない。

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