Eagles / The Last Resort

 高校2年の頃、勉強が本当に嫌な時期があった。早い時間に下校となる定期テスト期間中でさえも、勉強などせずあるひとつの曲ばかり聴いて過ごした事がある。Eagles の「Hotel California」の中の「The Last Resort」だ。

 Last Resortを辞書で引くと「最後の手段」「頼みの綱」といった訳が出てくる。Eagles がその意味で使用したかどうか分からないが、少なくともこの曲は、「Hotel California」同様に文明社会への批判を歌ったものというのが定説になっている。きっとシリアスな内容の曲なのだと思う。

 ところが高校生の僕は、このLast Resort を最後の楽園と訳し、勉強も試験も競争もない、誰もが一生を穏やかに、そして平和に暮らせる天国のような場所の事を歌っているのだと勝手に思い込んでいた。頭の中のイメージはあたかもユートピアか桃源郷だ。勉強が嫌で嫌で仕方のない僕は、この最後の楽園の曲を繰り返し繰り返し聴いてはひとり癒されていた。

 Eagles の廉価版ボックスがリリースされる。いい事だと思う。