村上龍 愛と幻想のファシズム (30)

 先週末、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を家族で観た。今更何という感じだろうが、”家族みんな”という点が重要なのだ。

 エヴァを家族で観るまでには時間がかかった。何故なら我が家の奥さんはエヴァに良い印象を持っていなかったからだ。エヴァはおそろしく巷に氾濫している。そのほとんどが綾波レイとアスカのフィギュアである。プラグスーツだけでも悩ましいのに、水着であったり制服であったり、中には本編では着ていなかったオリジナルコスチュームのモノまである。男性なら誰でも喜びそうなこういったアイテム群が、女性の理解を得るのは難しい。

 僕と息子達は、奥さんの留守を狙っては、エヴァの全てのTV シリーズと劇場版を過去に制覇している。この面白さを奥さんにも分かってもらいたい。村上龍「愛と幻想のファシズム」との関連を持ち出すなど、理由にならない理由を付けて、やっとの思いで家族鑑賞会に漕ぎ着けたのだ。

 一緒に観る事には成功したが、今だに奥さんからは一言の感想もない。