村上龍 心はあなたのもとに (2)

 今日の休日、家族が一斉に出掛けたので村上龍の「心はあなたのもとに」の続きを読んだ。ほんの1時間程前に読み終えた。まだ興奮している。

 物語の結末が1ページ目で明らかにされており、つまり事前に知っていたのにもかかわらず、最終章を読んでいる途中から涙が止まらなくなった。知っているのと目の当たりにするのでは、やはり全然違う。

 「最後の家族」「半島を出よ」「歌うクジラ」「心はあなたのもとに」と、今世紀に入ってからの村上龍作品には泣かされる事が多い。僕自身が歳のせいで涙もろくなっているという事もあるのだろうが、村上龍が意図してそういう作品を送り出しているのかも知れない。いずれにしても駄作で読者の心は動かないのだから、村上龍の力量に感服という事になる。

 小説でも音楽でもそうだが、読み終えた後や聴き終えた後に、心からこれに出逢えて良かったと思う瞬間がある。うまく説明できないが、究極の満足とでもいうようなものだ。今日は究極の満足を味わった。