村上龍 カンブリア宮殿 [特別版] 村上龍×孫正義

 「カンブリア宮殿 [特別版] 村上龍×孫正義」が発売される。

 僕がソフトバンクと云う名前で真っ先に連想するのは、携帯電話でも球団でもなく、1999年から2000年にかけてのIT バブルである。とにかくとんでもなく強烈なイメージがあった。インターネットを介して日本を制覇してしまうのではないかと思えて、ソフトバンクには本当に心が踊った。

 IT バブルがはじけて、僕の中でソフトバンクの存在は急激に薄れた。北尾吉孝が会社を離れた事も拍車をかけた。北尾吉孝のやろうとしていた事は理解できたが、孫正義がやろうとしていた事は無謀にしか見えなかった。桁外れの有利子負債が、何もかもを物語っているように感じた。この会社のすべてがバブルで、結局中身など何も無かったのだと思った。

 それがどうだろう。あれから10年、ソフトバンクは小学生でも知っている日本を代表する企業となった。官営だった巨人NTT に肩を並べてしまった。孫正義は本当に偉大だったのだ。僕は自分の無知を恥じるしかない。