村上龍 メランコリア 7

 ヤザキの独白。「無力感は無能とは違う。無能な奴は自分が無力だという事に気付かない。辛い状態を何とかしようと何かにすがるのは間違いだ。無力感から自由になるには欲望を意識することから始めなければならない。欲望の実現のスピードは無力感から自由になっていく速度と比例する」。

 元気な時の自分にレベルを設定して他の自分を憎む事というヤザキの生き方が、村上龍「メランコリア」を読む事で、強烈に像を結んできますね!

 ヤザキは常に無力感を抱いており、その無力感からくる憂鬱と共存してるんですよ。そしてどん底の憂鬱の中から欲望を見いだし、それを過激なまでにドライブさせる事で未踏の領域まで自分を高めていく人なんじゃない?

 退屈より憂鬱の「ストレンジ・デイズ」と併せ読むと、無力感→憂鬱→欲望→強いては希望というラインが浮かんできませんかね。鬱を感じない人には退屈しかない。退屈からは何も成し遂げられない。無力感からくる憂鬱こそ全ての源泉。おなじみの破壊→希望に次ぐ新たなライン!