村上龍 メランコリア 6

 「お前は無力だ!」。「ストレンジ・デイズ」のエンディング、反町の頭の中に響く声がお前は無力だでしたよね。そしたらなんと村上龍「メランコリア」のヤザキまでもが、独白の最後で同じ事を云ってるんですよ!

 「1人で部屋で音楽を聞いている時も、街の雑踏を歩いている時も、横断歩道で信号が青に変わるのを待っている時も、スーパーマーケットのレジの前に並んでいる時も、肌を針で刺されるようにその信号は届いてくるんだ。お前は無力だ、お前は無力だ、お前は無力だ、お前は無力だ」。

 いやぁ、びっくりしました。反町とヤザキのキャラって全然違いますよね。それなのに2人の心境は全く同じなんですよ。ましてヤザキは頂点を極めた男ですよね。それなのに無力感からくる憂鬱に支配されているワケです。反町は退屈と憂鬱なら、憂鬱の方がいいという思いに最後にたどり着きます。憂鬱、侮れないキーワードですよ!

 そういえばタイトルのメランコリアって憂鬱の意味ですよね!