Nick Lowe / Cruel To Be Kind

 今から30年も前の事だが、古今東西ロックの名盤10選の某山下君が、僕の家に来る際に一風変わったレコードを持参した事があった。そのレコードとは、三遊亭圓丈の「恋のホワン・ホワン」である。

 新鋭落語家がおふざけで作ったようなレコードは聴く気がしなかったのだが、聴いてみると何故か異様に惹かれた。歌詞はどうという事はないし、歌に至ってはド下手だったが、曲がおそろしく良かった。尋常でないロック通の某山下君が、何故、三遊亭圓丈なのか。答えはすぐに分かった。「恋のホワン・ホワン」はNick Lowe 「Cruel To Be Kind」のカバーだったのだ。僕はこの曲をNick Lowe ではなく、圓丈によって初めて知った。

 長らく「恋のホワン・ホワン」はオークションで高値で取引されていた。2009年に復刻版EP が再発されたようだが、それも今では品薄らしい。

 「Cruel To Be Kind」収録の、Nick Lowe 「Labour of Lust」が再発される。最新リマスターかどうかは不明。当然だが、オリジナルも良い。