村上龍 限りなく透明に近いブルー (17)

村上龍 限りなく透明に近いブルー 村上龍 限りなく透明に近いブルー  07/14/76 講談社

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 村上龍「限りなく透明に近いブルー」。解説の綿矢りさがこう書いている。
 ”後の作品に見られる語り口の迫力の芽が、本書ですでに吹き出ている。村上龍さんの作品にはたくさんの暴力的な描写や差別的な単語が出てくるけれど、なにが一番の暴力かといえば語り口だ。”

 なるほど、妙に納得した。まったく同一の出来事を別々の作家がそれぞれ描写しても、読者が想像する映像は違う。作家の技術力もあるだろうが、それ以上に語り口によってイメージが大きく左右される。いくら暴力的な単語を並べ立てたとしても、語り口次第で怖さは伝わらない。

 村上龍作品の面白さは、テーマの選び方やストーリー展開、情報の多さや卓越した文章力等、様々あるだろうが、意外に語り口が最大の要因なのだと次第に思えてきた。語り口は努力で獲得するものではないと思う。その個人から自然に産み出て来るものだ。

 語り口が一番の暴力とは、最高の賛辞に違いない。

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