村上龍 コインロッカー・ベイビーズ 1

 どうしてこの作品は僕を魅了し続けるのだろう。どうして最後はこの作品に帰ってきてしまうのだろう。村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」。

 数年前オークションでY2さんと知りあいました。文学すべてに興味を失ったというY2さんは、90年代前半までに出版された何冊もの村上龍の初版ハードカバーをオークションに出品されていました。しかも極上のコンディションのモノばかりをです。そのほとんどを落札し続け、「コインロッカー・ベイビーズ」の出品を今か今かと待ち続けた僕に対して、Y2さんは最後にこう言いました。

 「コインロッカー・ベイビーズだけは出せないよ、40歳を過ぎた今もまだ、キクのスピリットが自分の中に流れているのを感じていたいから」。

 キクのスピリットって何だろう。この作品を1回でも読んだことがある人なら、漠然とした思いではあるにせよ、何となく理解可能な言葉ですよね。でも絶対に失ってはならないような、そんな大切な想いなのだろうか。実は最近になって、やっとY2さんの言葉の重さが少しわかってきたんです。

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