村上龍 愛と幻想のファシズム Returns! 4

 村上龍「愛と幻想のファシズム」。正のトウジ・負のゼロ、光のトウジ・影のゼロ。一方で狩猟社の成功と肥大化によって自らのシステムに取り込まれてしまったトウジに対して、最後までシステムに呑まれなかったゼロ。この構図から浮かび上がるのは偽のトウジに対して真のゼロですよね!

 もし仮に、真のゼロを偽のトウジが克服し超越したとするなら、ついにここで偽が真に変貌したんじゃないですかね。つまり最強のトウジの誕生です。

 どうですか。トウジとゼロの同一人物説を持ち出すことでかなりポジティブな作品イメージとなりますよね。ちょっと苦しいけど。

 ところがです、そう喜んでばかりもいられないのです。当のトウジに最強の自分という自覚が無いまま物語が終わっちゃうんですよ。この作品の結末で「コインロッカー・ベイビーズ」のキクのような不敵な笑いを、残念ながらトウジに見る事はできないんです。これではやっぱりちょっと不満ですよね。そこで次なる誇大妄想、すべてがトウジの白昼夢説の登場です!

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