村上龍 「希望の国のエクソダス」取材ノート 5

 村上龍「希望の国のエクソダス」取材ノートをあらためて読んでみると、円に対する取材が異様に多いんですよね。って事で円圏!

 アジア通貨基金構想は1997年に日本が提案した国際通貨基金のアジアバージョンです。ただしアメリカと中国の反対にあって潰されてしまいました。その後、同様の趣旨の新宮沢構想なるものもあったらしいです。

 一方、「希望の国のエクソダス」の中のアジア通貨基金は、衰退の一途をたどり国際的な存在感を失っていく日本において、なんとか国民がプライドを保ち一体感を損なわないでいるための政治的な道具として、なんとなく成立してしまいます。もっとも動機が経済的な合理性を欠いているために、すぐに国際金融資本のターゲットとなって窮地に追い込まれちゃいますけどね。

 ところで、その後アジア通貨基金構想というのはどうなったんでしょうね。もう日本にはそんな元気すらなくなっちゃったんですかね。現在ならアメリカも中国もこう言いますよ。「どうぞお好きに、お気に召すまま!」