村上龍「タナトス」。この作品のクライマックスは、現地で圧倒的支持を受けるシャーマンによって、レイコの正体が明かされるというラストシーンです。
熱帯の湿気が神秘さを演出する中、超自然的存在のシャーマンと狂気のレイコが対峙します。緊迫感のあるスリリングなシーンです。トランス状態から放たれるシャーマンの言葉の中に、レイコの真実の姿があり、そしてそれは同時にエクスタシー3部作における全ての答えでもあるワケです。レイコの本当の姿とは、シャーマンはどう答えたのか?
えっ、あぁ、この答え、哀しすぎますよ~。体が小刻みに震え出しそうなくらい哀しい答えです。そばによって抱きしめてあげたい、でもそれすら躊躇してしまうくらい哀しい現実です。これがレイコなのか~!
ですが意外にもレイコはその真実を素直に受け入れます。哀しんでいるのは読者だけで、レイコ自身は既にずっと昔から受け入れてたんですよ。レイコが言います。「その通りだと思う。わたしは女優だから」。