村上龍 ピアッシング 7

 村上龍「ピアッシング」。真夜中ぶっ通しの超音速バトルが終わりを告げ、重度の疲労感と共に新しい朝を迎えるという「ピアッシング」のラストシーン。ラストシーンだけに多くを書くことが出来ませんが、龍さんの思いがこもった感動的なシーンとなっています。

 そして「共生虫」「音楽の海岸」に続き、またしても龍さんは希望の種を巻くことを忘れていませんでした。ただここでの希望は他の作品にあるような力強いモノではなく、生きていくのに本当に最小限必要な僅かな希望です。でもそれとて希望であることに代わりはなく、傷ついた登場人物がこれからもなんとかやっていけるのではないかと思わせるラストシーンとなっています。

 ホッと安堵のため息がこぼれる瞬間ですね。龍さんらしく登場人物の最後の表情もクールでカッコいいです。

 「ピアッシング」は村上龍自選小説集2にも収録されてます!