村上龍 55歳からのハローライフ (26)

 村上龍原作のドラマ、「55歳からのハローライフ」。最終話の「空を飛ぶ夢をもう一度」を観た。正直なところ原作の方が10倍面白いと思うのだが、かと言ってこのドラマが嫌いかというと違う。回を重ねる毎に好きになっていく。

 イッセー尾形がとても良かったと思う。僕が抱いていた主人公のイメージとは違ったのだが、見終わったあとに原作の主人公をイメージしようとすると、すべてがイッセー尾形になっていた。考えてみれば他の話の主人公の顔も、皆ドラマのキャストの顔に変わっている事に気付く。それで僕の頭の中では収まってしまっているわけだから、やはりパワーのあるドラマだったのだと思う。

 「空を飛ぶ夢をもう一度」で一番好きな場面は、福祉事務所で主人公が奮起するところだ。ドラマの演出も良いと思うが、あっさりし過ぎていてもっと大袈裟にやって欲しかった。イッセー尾形は叫んでもよかったし、もっともっと怒って欲しかった。超えてはならない最後の一線が張られていた場所なのだから。

 最終回だと思うと寂しい。是非もう一度とおしで観たい。