Roxy Music / Avalon

 春先、落ち込んでいた時にDavid Bowie を聴いてやり過ごしていた。そのうち飽きてRoxy Music に代わり、今更云うのもはばかれるが、ドカンと再認識した事がある。ラストアルバムである「Avalon」のとんでもないスゴさだ。

 Roxy Music の最高傑作は「Avalon」だというのが定説で、それに異論はなかったのだが、個人的にはその前作「Fresh + Blood」が好きで、ロック談義になると「Avalon」を端に寄せ、「Fresh + Blood」をずっと推していた。理由は1つで、楽曲が佳曲揃いだからだ。「More than This」よりも「Same Old Scene」の方がカッコイイし、「Avalon」より「Oh Yeah」の方が泣けるというように。

 だが楽曲の区切りを取り外し、アルバム全体を1つのアートだとするとどうだろう。つまり断片的に聴くのではなく、全体を通して聴く。しかも身を委ねるようにして聴くのだ。そうする事で初めて分かる事がある。「Avalon」の半端でない耽美さだ。この作品はBryan Ferry の美意識のまさに頂点なのだ。

 アヴァロンとは架空の島の事で、ユートピアや桃源郷のような楽園らしい。