村上龍 オーディション (11)

 映画「オーディション」を観た。世界各国で「超怖い!」と評判になった、村上龍が原作の1999年の作品。観るのにかなりの勇気と覚悟が必要。

 はっきり言って原作よりも怖い。というかこれは完全にB級カルトホラーだ。断っておくが、B級とは賛辞の意味で、B級であるが故に怖いのだ。特に麻美が飼っている袋、こんなアイテムは原作になかったような気もするが、この袋の存在がとにかく最高に怖い。この袋によって麻美の異常さが突発的でない事が証明され、時間軸の連続性が保たれている。

 麻美を演じた椎名英姫は、B級カルトホラーのヒロインとして最高だったと思う。彼女でなければ、これほどまでの怖さは出なかったと思う。だが一方で、原作の麻美が持つ純粋さや妖艶さは映画に出せていなかった。もっと言うと女性としての魅力は、原作の麻美に比べると映画の方は半減している。

 猟奇的なものを求めるのなら映画で、官能的なものを求めるなら原作だろう。とても素晴らしい映画だと思うが、僕は原作の方が好きだ。