村上龍 カンブリア宮殿 村上龍の質問術

 村上龍「カンブリア宮殿-村上龍の質問術」。村上龍は、回答を考えるより質問を考える方がよほど難しい作業だという。云われてみればその通りだ。番組のゲストへの質問を、村上龍が考え抜く過程がこの本に詰まっている。

 この本を読んで、村上龍の仕事ぶりに驚いた。ずば抜けて仕事が出来る一流企業の一流サラリーマンのようだ。これだけ仕事が出来る人はそういないと思う。あらためて村上龍のスゴさを思い知った感じだ。

 ただ、このような努力の痕跡を披露してしまうのは、ちょっとどうなのという気がしないでもない。村上龍なら、TV番組のひとつやふたつ、何も労せず、天才的なヒラメキだけでこなしていていい。その方がカッコイイと思う。もちろん本にあるような緻密な過程を踏んでこそ、番組のクオリティが保たれている事は分かる。でもどこかサラリーマン的なものを感じずにはいられない。

 もっとも、イチローだって影で猛練習している。それと同じだと思って我慢しよう。天才も皆、努力しているのだ。