藤沢数希 / 外資系金融の終わり

 藤沢数希の「外資系金融の終わり」を読んだ。完全な上から目線で、年収3000万以下の者はサル扱いという、鼻持ちならない記述が多い。もっとも本人は確信犯なはずで、それについてバッシングしてしまうと本人の思う壺。

 リーマン・ショックの時、大きすぎて潰せないという理由で、天文学的な公的資金が金融機関に注入された。以降、それを教訓に金融機関への規制強化が激しい。藤沢数希はそういった金融行政の社会主義化を憂いでいる。

 規制強化はダイナミズムを奪うだけでなく、参入障壁を高くする。いつも同じ顔ぶれが横並びのサービスしか提供しない、かつての護送船団方式に逆戻りなのだ。経営に失敗した銀行は潰れるべきで、破綻が世界的な金融危機にならないために必要なものは規制強化ではない。モラル・ハザードを防ぐ事は当然だが、潰れても平気なほど各銀行が小さければいいのではないか。

 僕も賛成だ。一般の事業会社のように、完全な自己責任のもと、多種多様な各々が自由に振る舞う事が一番良い。社会主義は何も産まないと思う。