村上龍 55歳からのハローライフ (23)

 最近、字を読むのが辛くなった。腰痛もずっと治らない。疲れているのに朝ゆっくり寝ていられない。気力は全く衰えてないつもりなのだが、体がどうしてもついてこない。そんな事を考えていると、自分の中で弱気の虫が蠢く。

 村上龍「55歳からのハローライフ」を読むと、死というものが身近に迫ってくる。村上龍がこれほど日常の中の死を扱った事はない。大量破壊兵器による殺戮や無差別猟奇殺人とか、そういったものは過去に多かったと思うが、誰にでも訪れそうな身近な死を複数書いたのは初めてだと思う。

 村上龍がどのような意図で死を扱ったのか分からないが、少なくとも小説タイトルの55歳という年齢そのものが、次第に死に近づいているのは確かだ。体が思うようにならず弱気の虫が蠢くと、たまに僕も死を意識する事がある。あとどれくらい生きて、それまでに何をやってとか、そんな事を考えたりする。

 「55歳からのハローライフ」には弱気の虫に働きかけるようなところがある。だから余計に、再出発を試みる主人公達が清々しいのだと思う。

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