古井戸 / 四季の詩

 小学生の頃に吉田拓郎を聴いていたと話すと驚かれる。だが吉田拓郎や井上陽水といったメジャーどころだけでなく、古井戸なども聴いていた。

 その頃はレコードを買うほどのお小遣いは持っておらず、もっぱらラジオから流れる曲をカセットに録音しては聴いていた。当時抱いていた古井戸のイメージはしっとりとしたフォークデュオだ。なので後に仲井戸麗市がRCサクセションに加入してロックンローラーになっていたのには正直驚いた。

 その十数年後、古井戸のライヴ映像を何かの機会に初めて観た。ヴォーカルの加奈崎芳太郎は椅子に腰掛けて弾き語りをしている。やっている音楽は紛れもなくフォークだ。フォークデュオなのだから当然のごとく仲井戸麗市も隣に座って静かにギターを弾いているかと思いきや、なんとフォークらしからぬサイケなファッションで横に立ち、体を揺すりながらギターを掻き鳴らしていたのだ。まるで若き日のKeith Richards のように!

 こういうのを腑に落ちると云う。仲井戸麗市は遥か昔からロックなのだ。