村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Caf’e (2)

 村上龍のエッセイや対談集を読むと心が踊った。村上龍の喋っている事が難しすぎて僕には理解不能な場合も多々あるのだが、それでもそれ故にカッコいいなと思う事が出来たし、ずっと憧れの対象だったと思う。

 先日出版された「村上龍と坂本龍一 21世紀のEV.Caf’e」でも、村上龍は難しい事を喋っている。今までのパターンだと読んで心が踊ったのだろうが、今回ばかりは少し気持ちが落ち込んだ。その原因は収録された対談時期が90年代の終わりであり、現在の僕よりも対談時の村上龍が若かったからだ。

 村上龍の年齢になれば、僕も村上龍のように喋れるのだろうなんて思っていたが、考えてみれば当たり前なのだが、そうではないのだと思い知らされた。僕ももう少しマシな事を喋れる中年になりたかったと思う。

 もっとも村上龍と自分を比較するなんてバカの極みだ。凡人には凡人の道がある。これからは「21世紀のEV.Caf’e」のように、僕と村上龍との年齢差である10年を超えて過去の対談集を読む時には注意しよう!