甲斐バンド / Rocks

 高校の頃、同じクラスに甲斐バンドのファンが結構いた。僕は甲斐バンドの持つフォーク的な部分(裏切りの街角etc.)や、演歌的な部分(安奈etc.)がちょっと苦手で、どんなに周りが盛り上がろうとも好きになる事はなかった。

 それが一変したのは大学の頃、Roxy Music の「Avalon」やDavid Bowie の「Let’s Dance」がきっかけだ。この2枚はおそろしく音が良い。なんでだろうと調べていく内に、ミックスエンジニアのBob Clearmountain の存在を知る。レコーデイングの世界では有名人だった。僕はBob Clearmountain ばかりを集めるようになり、気が付いたら甲斐バンドにたどり着いていた。

 後期甲斐バンドの3枚のアルバムは、Bob Clearmountain がミックスだ。いち早く目を付けた上に、金銭的なリスクを考慮せず実現まで持っていく。そんな事をする日本のミュージシャンは当時誰もいなかった。心からカッコいいと感じた。この3枚にフォークや演歌の匂いはない。あるのはロックだ。

 甲斐バンドが「Rocks」という新譜をリリースした。ロックな人達なのだ。