村上龍 走れ! タカハシ (6)

 先週の土曜日のこと、僕が保護者会長を努める森の少年野球チームは、保護者と子供たちによる合同の大忘年会をもって今シーズンの活動をすべて終えた。小6の次男と共に僕もこのチームを卒業する。

 長男が小4で次男が小2のある日、ふっとチームは結成された。それから5年間ずっとチームに同行した。週末はすべてそれに費やした。楽しい事もヤマのようにあったが、辛い事もヤマのようにあった。5年間に渡って僕を突き動かしたのは、ドラマになるような熱い思いなどではない。単なる責任感だけだ。先頭を走るというのはそういう事なのだろう。

 忘年会の時、僕はいつでも泣ける状態だった。これで最後かと思うと否が応でも感情が高ぶった。だが進行役としていつものように最後まで場を仕切っている自分がいる。感情に勝ったのはやはり責任感なのだと思う。

 この5年間で僕が得たものを言葉で説明するのは難しい。ひたすら大きく、ひたすら広く、ひたすら重いものだ。今は少し休みたい。