村上龍 裏JMMの海岸 Q:1267

Q:1267
 電機業界の3月期決算は明暗が分かれました。大赤字を計上したソニー、シャープ、パナソニックなどと、日立製作所、東芝、三菱電機など黒字決算のグループです。両者にはどんな違いがあったのでしょうか。

 明暗の差は、前者グループのブランドイメージにあると思う。

 例えば10年位前であれば、パナソニックを持つ事で誰もが安心出来たし、ソニーに至っては持っているだけで他人から羨ましがられた。Walkman やPlayStation、Vaio を初めて手にした時の喜びを思い出して欲しい。ところが現在ソニー製品を持っていてもけして威張れない。というかむしろ恥ずかしい場面もあるかもしれない。赤字転落の前者グループは、この何年かで著しくブランドイメージを損ねてしまったのだと思う。

 一方の黒字確保の後者グループは、他の業界のその他の企業と同様に、やるべき事をただ地道に続けてきたに過ぎない。前者との対比で何か特別偉いような印象を受けるが、実はごく当たり前の結果だと思う。

 ソニー・シャープ・パナソニックブランドを傷付けた張本人は、遠い場所にいる全く異業種の企業なのではないだろうか。Apple、Google、Amazon etc。カッコいいと思えなくなったらもうブランドではないと思う。