Aerosmith / Amazing

 もうひとつAerosmith 話。「Walk This Way」の洗礼を受けてから18年後、僕は人生で3度目の転職をした。年齢は30を超え、ちょうど奥さんと付き合い出した頃で、結婚の二文字も頭をよぎる。新しい会社で頑張らねばならないと誰もが思う状況だ。ところがである。この会社が面白くないのだ。

 仕事がつまらないというのは最大の苦痛だ。一生こんな事を嫌々続けなければならないのか。給料だけ貰えればいいのか。簡単に割り切る事がどうしても出来ない。悶々とした思いが続き焦りは日々深まった。

 ちょうどそんな時期に聴いていたのがAerosmith の「Get a Grip」。本来ゴキゲンなはずのAerosmith も、この時ばかりはかすんで聞こえる。ただし「Amazing」「Cryin’」「Crazy」の3曲のバラードは別で、心の底まで訴えかけるようなSteven の声と、強く優しいメロディが沈んでいる僕を励ました。

 結局、僕は会社を3ヶ月で辞めた。以来「Amazing」「Cryin’」「Crazy」の3曲を聴くときは身構えて聴く。とても大切な曲だからだ。