村上龍 裏JMMの海岸 Q:1264

Q:1264
 国の経済成長と、個人の幸福の関係をどのように考えればいいのでしょうか。

 国の経済成長と個人の幸福にまつわる議論には、僕も大変な違和感を感じている。村上龍が指摘するように両者はまったくの別物ではない。ましてや二者択一のように語られるのは論外だと思う。

 人間は生きていくために何らかの経済行為をしている。貨幣制度のない未開の地でも同様だ。すべてをDo It Yourself している人間などいない。経済は生きるための必須事項だ。経済が成長するという意味は、信用の創造が次第に拡がる事を意味する。経済が衰退すると信用は収縮する。

 信用が収縮してく中で、国や個人が取ることの出来る選択肢は激減する。現在の日本における社会保障の財源問題がいい例だ。経済衰退、信用収縮、選択肢減のスパイラル構造、これは不幸だ!

 信用の拡がりと選択肢の多さは、その個人の幸福感と密接に関係があると思う。結局のところ個人の幸福感は経済成長に支えられている。誰とも交わる事なく、選択という行為を放棄して生きるのであれば別だが。