村上龍 13歳のハローワーク (8)

 ドラマ「13歳のハローワーク」は、原作者村上龍の主張とは幾分違う。

 「13歳」や「盾 シールド SHIELD」のような本が世に出る事はそれだけで素晴らしい事。僕は村上龍の主張に全面的に賛成だ。ただ「無趣味のすすめ」にあるように、ここまで言っていいのかと感じる絶対的強さは、一部の対象を逃げ場のない場所に追いやる事に繋がりかねないと思っていた。

 子供たちをガイドするにあたり、いくら仕事や職業が大事だからといって、こうでなければならないと子供たちに受け取られてしまっては逆効果。「13歳」を手にとってこの本の中から職業を選びなさいではダメだし、「無趣味」のようにすべては仕事の中にあると説いてもダメなのだと思う。「13歳」の中から見つける事が出来なくても良し、仕事は生活のための手段で趣味が生きがいでも良しのような柔軟さも必要なのだと思う。

 ドラマは村上龍の強さを上手にオブラートに包んでいた。本来の村上龍の主張が伝わり安かったのではないだろうか。秀逸な出来だったと思う。