村上龍 すべての男は消耗品である。Vol.10 大不況とパンデミック

 2009年に出版された村上龍の「すべての男は消耗品である Vol.10」。サブタイトルにパンデミックという単語が使われている。当時、新型インフルエンザか何かの大流行を受けてメディアでも頻繁に使われていた。

 最近はパンデミックという言葉をあまり聞かない。死に至るような重大な感染症が流行してないからだと思う。だが周りを見渡してみると旧型インフルエンザが大流行だ。長男の中学校でも次男の小学校でも学級閉鎖が相次いでいる。そして学級閉鎖の余波はとんでもないところにまで及ぶ。

 土曜日の事だが、長男の中学校がテニス大会への出場を辞退した。学級閉鎖のある学校は、人が多く集まる場所に参加するわけには行かないのだそうだ。選手達の体調がすこぶる良くても関係ないという。長男は勝ち残る事でこの大会の出場権を手にした。当然だが辞退とは不戦敗を意味する。

 学校の反応は過剰だと、僕も奥さんも憤った。だが良識ある世間というのはきっとこういうものなのだ。安心の代償は窮屈ということなのだと思う。