村上春樹 ノルウェイの森 (23)

 お正月、村上春樹原作の映画「ノルウェイの森」を観た。イマイチだった。省略部分が多いにもかかわらず、あとは原作そのまんまだからだ。

 アクションとかアドベンチャーとかホラーなら別だろうが、静的なストーリーを原作どおりになぞっても、原作以上の奥の深さは生まれない。原作が傑作であれば尚の事だと思う。どんなに綺麗な映像を持って来ようが、原作を読んでいる時に読者が想像した風景には勝てないし、どんなに俳優の演技が巧くても、読者が思い描いていた人物には遠く及ばない。第3者の創る映像よりも、個々の読者の想像力の方が上なのではないだろうか?

 原作にはBeatles をはじめ、60年代のロックやポップスが満載だった。スコアのサウンドトラックなど使わず、せめてこの手の曲をもっとふんだんに使って欲しかった。そうすれば僕は大いに楽しめたのに。

 そういえば、村上龍の「コインロッカー・ベイビーズ」や「半島を出よ」の映画化の話は、その後どうなったのだろうか?