村上龍 裏JMMの海岸 Q:1242

Q:1242
 オリンパス、大王製紙問題、あるいは読売巨人軍の内紛など、コーポレートガバナンスが問われる事件が相次いでいる感があります。一連の事件から、何を学ぶべきなのでしょうか。

 外国人社長を追い出したはずが、まんまと逆に追い出されてしまったオリンパス経営陣、とんだバカ息子だった王子製紙御曹子、生き恥を晒し続けるナベツネ。彼らに共通しているのは、稀代なカッコ悪さだ。

 僕はこんなにカッコ悪い人達を見たことがない。赤っ恥もいいところ、こっちの方が赤面してくる。度を超えた恥は救いようがない。そして醜い。裸の王様でさえもうちょっとマシだ。穴に入って一生出て来ないで欲しい。

 彼らはずっと他人を蔑んできた。強欲で自分勝手、感情のみで行動し、品格のかけらもない。にもかかわらず、周りの人間を蔑んでいるから、傍から見て自分がどう写っているかなど全く気にしない。美意識のかけらもないのだ。美意識と云うのは他人を気にして生きるという事ではない。美意識は人としての最低限の礼儀だと思う。社会的立場が大きければ尚更だ。

 他人を蔑んだら、その時点で美意識は失くなる。どんな人達に対しても、最低限の美意識だけは持って接していきたいと強く感じた。