村上龍 裏JMMの海岸 Q:1238

Q:1238
 野田総理は先週、TPPへの交渉参加を表明しました。交渉参加によるもっとも大きな変化は、どういったところに表れるのでしょうか。

 我が家の奥様は中国が嫌いだ。中国関連のニュースが流れるたびにいつも憤っている。中国は信用出来ないと云う。なので奥様は中国産の食品をいっさい買わない。中国のみならず他の国もあまり信用してないようだ。

 TPP に参加する事による最も大きな変化は農産物だと思う。世界中のありとあらゆる国から、ありとあらゆる農産物が激安に、しかも大量に入ってくる。スーパーの棚は端から端まで外国産でいっぱいになる。こうなった時に日本の農産物はスーパーから完全に姿を消してしまうのだろうか?

 僕はTPP 参加によって日本の農業が強くなればイイと思っている。農協のような中間摂取の悪者はこれを機に早く消えてしまえばいい。第三者に保護されている時に本気で戦う者はいない。これからが本番だ。保護が外れた途端にすべてが死んでしまうほど日本の農家はヤワではないはずだ。

 我が家の奥様は、きっとどんなに高くても日本の農産物にこだわると思う。そういう消費者は多いのではないだろうか。悲観ばかりではよくない。