村上龍 裏JMMの海岸 Q:1236

Q:1236
 TPP (環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加の賛否が大きな話題となっています。率直に言って、わたしは交渉参加・加盟の是非がよくわかりません。TPP 問題を考えるとき、議論の前提としてどういったことを考慮すべきなのでしょうか。

 Imagine There’s No Countries。John Lennon は「Imagine」の中でこう歌っている、国境が無い世界を想像してごらんと。

 TPP の議論が真っ盛りなので、JMM から一週間遅れてしまったが僕も一言だけTPP について書きたいと思う。僕はTPP に賛成である。というか正確に言うとTPP はどうでもよくて、関税という制度自体に反対なのだ。

 特定の産業を関税で保護しても何も産まない。得意な事を伸ばす事をせず、苦手な事を無理にやらせてもろくな大人にならない。苦手分野は他人に任せればいい。比較優位の原理を、僕は心の底から信じている。世の中のすべての関税を撤廃し、フェアで自由な競争の中からこぼれ落ちる果実を皆が受け取る事の出来る世界、これが理想なのではないだろうか?

 自分だけ良ければいいというのが関税の正体だ。John が想像したように世界がひとつで皆が仲良しであるのなら、お米は近所の友人C 君に任せて、J 君は得意なエレクトロニクスとアニメにでも没頭してみたらいいと思う。