Pink Floyd / See Emily Play

 最も多感な高校生の頃に、僕は「The Wall」の洗礼を受けている。そんな事もあり僕にとってPink Floyd とは長い間Roger Waters だった。

 「See Emily Play」は、Syd Barrett による1967年リリースのPink Floyd の2nd シングルである。この曲が僕の最初のSyd Barrett である。聴いたのは大人になってから。しかもPink Floyd ではなくDavid Bowie で聴いた。「Pin Ups」というBowie のカバーアルバムに収録されていた。

 これは不思議な曲だ。こんなメロディを持った曲はなかなかない。それでいておそろしくキャッチーなものだからつい口ずさんでしまう。こんな曲を書けるのは余程の天才か、さもなくば精神異常者だろうと思っていた。

 当たり前だがRoger Waters だけがPink Floyd ではない。3分にも満たないこの曲は、後の大作群と立派に肩を並べている。狂ったダイヤモンドは今も輝き続けている。僕はこの曲が本当に大好きだ。今年編集の最新ベスト盤 「Foot in the Door」にももちろん収録されている。