村上龍 自殺よりはSEX

 知り合いが自殺した。仕事上の悩みを抱えていたらしい。僕と同年代だ。10年近く話していなかったとはいえ、やるせない気持ちになる。

 村上龍のエッセイに「自殺よりはSEX」というのがある。詳しい内容まで覚えていないのだが、どんなに切実な悩みを抱えていようとも、SEX でもすれば多少でも生きる気力は湧いてくるというような、タイトル通りの内容だったように思う。読了後にずいぶんと気持ちが楽になったと記憶している。

 自殺を考えるほど酷い状況に陥った事の無い者が何か云うのは無責任なのかもしれないが、SEX に限らず、文学や音楽が救いになる事だってあるはずだ。僕の場合であれば、村上龍を片手にAmazon で60年代ロックを物色している時に、この上ない幸せを感じる事が出来る。少なくともその時間は自殺しようとする気持ちから開放されるのではないだろうか。

 と、ここまで書いてはみたが、そんなに簡単な事ではないのだろう。難しい問題だ、考えていてもしょうがない。故人の冥福を祈るしかない。