リチャード・バック かもめのジョナサン (8)

 2ヶ月程前、中学1年生の長男が読書感想文の課題で困っていた。翌日の授業に感想文で使う本を持参する事になっているのだと云う。前日の夜だというのに、長男は何も考えておらず何も用意していなかった。

 家にある本で何かないと僕に尋ねるのだが、本を読む習慣があるのは家族の中で僕だけ。したがって我が家には村上龍しかない。中学1年生に「限りなく透明に近いブルー」を持たせるわけにはいかない。

 ずいぶんと悩んだ挙句、「かもめのジョナサン」があるのを思い出した。リチャード・バックの「イリージョン」を村上龍が翻訳した繋がりで、同じバックの代表作「かもめのジョナサン」も同時に購入していたのだ。

 2ヶ月後の昨日、ビッグニュースが飛び込んできた。例の長男の読書感想文が校内で入選したのだ。こんな快挙はない。だが大喜びしている奥さんの横で、長男は浮かない顔をしている。それはそうだ、感想文を書いたのは長男ではなく僕だからだ。言うまでもないが、僕は密かに満悦至極!