村上龍 オールド・テロリスト (4)

 村上龍の小説に登場する若年層以外の主人公はたいがいお金持ちだ、とブログに書いたばかりなのに、連載中の「オールド・テロリスト」の主人公・関口は、とんでもなく貧乏だった。

 考えてみたら「半島を出よ」のノブエはホームレスだったし、「最後の家族」のお父さんはリストラされていたし、「エクスタシー」のヤザキもホームレス。若年以外の主人公は金持ちばかりというのは単なる錯覚だろうか?

 しかしノブエは主役ではないし、最後のお父さんも主役級だがセンターポジションではない。ヤザキに至ってはリゾートを知り尽くしたホームレスだからまるで別。やはり「オールド・テロリスト」の関口は異色だと思う。

 僕は関口をとても気に入っている。「希望の国のエクソダス」ではメインストリームにいたはずなのに、現在は仕事も家族も失っている。現実問題として有り得ない話ではない。そんな関口に同年代の僕がシンパシーを感じないわけがない。関口を応援したいからこの小説を読む。