村上龍 心はあなたのもとに (5)

 村上龍「心はあなたのもとに」。ヒロインの香奈子は西崎の経済的援助によって、日本で最高レベルの医療サービスを受けている。

 誰でもいつでもどこでも安心して平等に医療を受けられる。国民皆保険制度のおかげで、そのように思っている国民は多い。だが村上龍が小説の中で提示しているように、それは幻想に過ぎない。年金制度同様、健康保健制度も危うい状態だ。お金持ちが必ず幸せになるとは限らないが、お金がある事で不幸の度合いは緩和する。村上龍はこの小説によって、現在及び今後の医療の実態を皆に伝えようとしているのだと思う。

 村上龍が投じたメッセージをどう捉えるか、それは読者に委ねられている。僕がこの歳で一夜にしてお金持ちになる事は不可能に近い。今後病気になっても、満足な医療を受ける事が出来ないかもしれない。

 だがこの現実を重く受け止める事だけは出来る。少なくともしなければならない事がある。それは自分の子ども達にこの現実を話す事だと思う。

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