村上龍 無趣味のすすめ (2)

 趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。つまりそれらはわたしたちの仕事の中にしかない。

 村上龍の「無趣味のすすめ」が、未収録エッセイを大幅に追加した上で文庫化された。村上龍のエッセイはいつも格別に面白いと断った上であえて言うのだが、以前も書いたように僕はこのエッセイに違和感がある。

 まず仕事と趣味の定義が曖昧だ。普通に考えると僕のようなサラリーマンの場合、会社が仕事でそれ以外が趣味という事になる。だが会社に全てを注ぎ、会社以外に何も無い人の人生は虚しい。僕は人生の中の会社のシェアを極力落とし、可能な限り会社に依存しないように生きてきた。

 だからすべてが仕事の中にあると断言されると困るのだ。

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