Rolling Stones / Jumpin’ Jack Flash

 大学4年の春、僕は日々悩み、日々塞ぎ込んでいた。その先にある自分の人生に、まったくと言っていいほど希望が持てなかったからだ。

 その時、僕は就職活動を頑なに拒んでいた。就職したくなかったのだ。自分が何をやりたいのか分からなかった。やりたい仕事なんてまったくなかった。そんな状態でどこかに就職してしまう事におそろしく抵抗があったのだ。就職する事で会社の歯車として組み込まれてしまう事に恐怖を感じていた。友人が次々と就職先を決める中、僕だけが一人取り残されていた。

 悩みに悩んだ末に僕が出した結論は、資格を取るという事だった。やりたい事などすぐに見つかるものではないが、強い資格を所持していれば、少なくとも歯車にならずに済むのではないかと考えたのだ。資格の種類は何だってよかった。弱い自分を隠すための強い武装が必要だった。

 7月の暑い日、僕はある専門学校の受付を訪れていた。今思えば人生の岐路だ。その行き帰りの地下鉄で「Jumpin’ Jack Flash」を聞いた。