村上龍 限りなく透明に近いブルー (16)

 村上龍「限りなく透明に近いブルー」は、一昨年の4月に文庫本が新装版に生まれ変わった。新装版になったからと云って内容は変わらない。だが村上龍のすべてを購入しなければならない僕は喜んで購入した。

 新装版巻末の解説文は、「蹴りたい背中」で史上最年少での芥川賞受賞記録を更新した綿矢りさである。ブルーが当時の最年少記録だった事を思えば、綿矢りさという人選は現状考えられるベストな選択なのだと思う。そしてその解説は十分に読み応えのある素晴らしいものだった。

 新装版は綿矢りさのほかにも良い点があった。字が大きくなっていたのである。最近、歳のせいか小さい字が読めなくなった。小さな字の本を無理やり読み続けると頭痛がするようになったのだ。所詮は文庫本なので、もの凄く大きい字というわけではないが、従来版に比べれば格段に良い。

 しかし残念な事がひとつだけある。カバーの変更である。リリーの顔がないブルーは、中身は良いが外見の悪い女性と同じだと思う。