村上龍 限りなく透明に近いブルー (15)

 村上龍「限りなく透明に近いブルー」の装幀は村上龍本人による。村上龍が自分から出版社に申し出たらしい。イラストの女性はリリーである。

 実はブログに自分で写した本の写真をアップしてみて、初めて分かった事がある。なんと表紙と背表紙が繋がっていたのだ。実物の本で表紙と背表紙を併せてみるなどという事は、今までした事がなかった。驚いた。もしかするとファンは皆知っており、僕だけが知らなかったのかもしれないが。

 この事でリリーの印象が劇的に変わった。背表紙に描かれた顎のラインによって、リリーの首筋がおぼろげに見て取れる。同様に髪型をイメージする事も出来るようになった。なんて綺麗な女性なのだろう。女性にとって首筋と髪型は、これ程までに重要な要素なのかとあらためて感じる。

 作品の最後にリリーへの手紙という形で、短い文章が添えられている。作者が小説の登場人物に手紙を贈る、これは異例な事だ。大切な人だったのだと思う。リリーは今、多くの読者によって愛されている。