村上龍 限りなく透明に近いブルー (13)

 先週のことだが芥川賞・直木賞の発表があった。その事が影響してかどうか分からないが、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」が急に読みたくなって読んだ。ブルーを読むのはこれで3度目だ。

 初めて読んだ時は嫌悪感が先に立ち、全くなじめなかった。芥川賞受賞作品を理解出来ないのは、きっと自分に非があるのだと思って落ち込んだ。2度目に読んだ時は、何故かすんなりと入り込めた。おそろしくカッコいいと感じる事が出来たし、同時にとても哀しい話だとも思った。しかしそんな事より何より、ブルーに入り込めたという事実をうれしく思った。

 3度目のブルーは気負わず普通に読むことが出来た。面白かった。今回特に感じたのは力強さだ。膨大で無尽蔵なエネルギーが、常時作品を支配している。それは主人公リュウの力強さでもあり、作家・村上龍の力強さでもある。そして圧倒的なエネルギーは読者に力を与えてくれる。

 ブルーは哀しくなどない。生きる力に満ちていると思う。