村上龍 歌うクジラ (11)

 村上龍「歌うクジラ」。昨日の記事で少しだけ感想を書いたら、それをきっかけに次々と書きたい事が頭に浮かんできた。こういうところが面白かった感激した。反面こういうところが理解出来ない納得できない。

 この作品でまず嬉しかったのが主人公アキラの存在だ。アキラは15歳の少年。主人公が少年であるという事は僕にとって何より嬉しい。

 中学生が主人公だった「希望の国のエクソダス」、同じくティーンエージャーが大活躍の「半島を出よ」。どちらもその設定だけでおそろしく興奮した。大人を相手に堂々と立ち回る少年を見るのは快感だ。これ以上のカタルシスはない。大人が主人公の小説はもう読みたくないとすら思っている。

 今の時代、大人は何も成し得ないという諦めの気持ちがある。大人の多くは何かにしがみついているだけだ。大人のヒーローにリアリティは無い。又、子供たちに未来を託したいという思いもある。我が子を重ね合わせている自分もいる。少年が活躍する物語には、圧倒的に希望があると思う。