村上龍 歌うクジラ (10)

 村上龍「歌うクジラ」は既に読み終えている。感想を書きたいと思っているのだが、実はいまだ消化する事が出来ず、困っているのが現状だ。

 面白いか面白くないかで云えば、この作品はかなり面白い。特に上巻の面白さは抜群で、すべての村上龍作品を取り出してきたとしても、5本の指に入ると思う。文句の付けようがない極上のエンタテイメントであり、すべてにおいてさすがは村上龍と云わざるを得ない。完璧だと思う。

 消化しきれない原因は下巻にある。テンションが低いのだ。作家側のテンションが低いと言っているのではなく、読者側のテンションが上がらないのだ。エンタテイメント性は影を潜め、より観念的となっていくからだ。そして更に追い打ちをかけているのがラストシーン。正直なところ、僕はこの物語の結末に納得する事が出来ない。下巻はまったくいいところがない。

 それなのに、それなのにである。不思議な事に、僕はラストシーンを読みながら、感激のあまり泣いてしまったのだ。これはいったい何?

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