村上龍 ニューヨーク・シティ・マラソン Ex2

 スズメバチ襲来によるマラソン大会の中止は、刺された方には申し訳ないのだが、長男のちゃっかりゴールインによって我が家にとっては微笑ましい出来事のひとつとなった。ある1人を除いては。

 次男はスポーツが得意だ。このマラソン大会にかける意気込みも特別なものだった。そして実際にレースでも絶好調だったらしい。コース中盤の下りの直線で十数人をゴボウ抜きし、かなりの高位置につけた後も走る事を苦しく感じなかったという。次男は思った。今日はイケる。だがその思いも虚しく、コース上で係員に無理やり静止させられてしまったのだ。

 次男は今にも泣きそうな顔で帰ってきた。怒りを何処にぶつけていいのか分からないようだった。そして長男のちゃっかりゴールを知ると、手が付けられないほど怒り狂った。何故なら次男は長男より前を走っていたから。

 会場で支給されたそばを食べ、その後にクレープを買ってやったりしている内に、次男の機嫌はなおっていた。来年のヒーローは次男だろう。

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