村上龍 歌うクジラ (2)

 村上龍のiPad 配信のニュースは、米ウォール・ストリート・ジャーナルでも取り上げられたようだ。同誌の日本版での記事タイトルは「村上龍氏の決断に出版社は戦々恐々」となっている。

 なるほど出版業界にとっては死活問題というワケだ。共存などという道は残されていないのかもしれない。

 キラーコンテンツという言葉がある。「FF10」をしたいがために皆が「PS2」を購入するようなケースだ。もし「1Q84」や「もしドラ」といったようなベストセラーが電子書籍側から現れると、読書好きの多くは電子書籍リーダーを持つ事になるだろう。村上龍をはじめ人気作家は皆キラーコンテンツなのだ。

 こうなってくると紙媒体 VS 電子書籍という構図を通り越して、iPad VS Kindleみたいな事に自然と関心が向いてしまう。仮に人気作家が配信書籍リーダーを1つに指定するような事に発展すると、ソニー VS 任天堂ではないがコンテンツの優劣に業界全体が右往左往するのかもしれない。